交通事故被害にあった時に請求できる損害賠償とは?

損害賠償

 

交通事故に遭った場合、最初は、加害者が加入している任意保険会社の担当者と話をすることになります。担当者からは、「物的損害」、「人的損害」という言葉が出てきたり、項目ごとに損害額が記載された文書が送られてきたりしますが、その意味や自分が受けとることのできる損害の項目を知らなければ、担当者と対等に交渉することが難しくなります。

そこで、この記事では、加害者に請求できる損害の種類と考え方について解説します。

1.物的損害と人的損害

まず、交通事故の損害賠償は、物的損害と人的損害に分けられます。

(1) 物的損害

物的損害とは、交通事故によって、自動車や携帯電話など「物」が壊れたという損害です。

自動車に修理が必要である場合には、自動車の修理代金は物的損害になります。修理代金が自動車の価値を超える場合には「全損」と評価され、自動車の価格が物的損害となります。
ただし、損害賠償は壊した物の対価ですので、自動車の新車価格ではなく、「現在の価格」(中古価格)になります。

自動車に関連しては、その他に代車使用料、レッカー代、廃車料なども必要かつ相当な範囲で認められます。
また、最近はスマートフォンなどが高価ですので、スマートフォンが壊れた場合にもその中古価格が損害として認められることもあります。

交通事故に遭うと衣服なども損傷しますが、衣服は中古価格ではほとんど価値がないため、損害として認められる場合はそれほど多くないといえます。

(2) 人的損害

一方、人的損害は、人が怪我をしたり、死亡したりしたことに対する損害です。
人的損害は、財産的損害と精神的損害に分けられます。これについては以下で詳しく説明します。

 

2.財産的損害

財産的損害は、さらに積極損害と消極損害とに分けられます。

(1) 積極損害

積極損害とは、実際に支払った損害です。交通事故がなければ支出することなどなかったのに交通事故に遭ったために払わなければならなかった損害のことで、下記のような項目が含まれます。

・治療費

症状固定までの治療費が、必要かつ相当な範囲で認められます。

・入院雑費

入院すると、タオルや衣類などを購入するなどこまごまとした雑費がかかります。そこで、入院1日につき、1.500円の入院雑費が損害として認められます。

・付添看護費

付添看護費には、入院付添費、通院付添費、自宅付添費があります。
いずれも、事案ごとの症状の内容・程度、被害者の年齢、医師の指示の有無などから、必要かつ相当な範囲で認められます。

付添人を雇った場合には、その人に支払った金額が損害になります。
一方、家族が付き添った場合には、基本的な金額は、入院付添費は日額6,000円、通院付添費は日額3,000円で、自宅付添費はこれに準じた金額が認められます。

付添看護費には、付き添った人の交通費、雑費、休業損害などがすべて含まれています。ただし、付添人の休業損害の方が付添看護費よりも高い場合には、付添看護費ではなく休業損害が認められます。

・通院交通費

通院にかかった交通費は、公共交通機関を利用することが原則です。症状などから見て、タクシーを利用することもやむを得ない場合には、タクシー代金でも認められます。

自家用車で通院した場合には、ガソリン代が1kmあたり15円程度認められます。

・文書料

職場に対して、診断書を提出するとか、自賠責や裁判所に診断書や診療報酬明細書、後遺障害診断書を提出するという必要がある場合、病院にお金を払って診断書等を取得します。その代金も交通事故がなかったら支出する必要がなかったものですから、損害にあたります。

・装具・器具購入費

松葉杖、義足、車いす、介護用ベッドなどの装具備品の購入費用も必要かつ相当な範囲で認められます。義足など、将来にわたって交換が必要だと考えられる物は、将来の購入費用も認められます(中間利息は控除されます)。

・家屋改造費

車いすでの生活になったために家屋をバリアフリーに改造する必要があったとか、自動車を改造する必要があった、自宅に手すりをつける必要があった、エレベーターのあるマンションに引越をする必要が生じたなど、家屋や自動車などの改造費、引越費用なども必要かつ相当な範囲で認められます。

・葬儀費用

交通事故によって死亡した場合には、150万円程度の葬儀費用が損害として認められます。

(2) 消極損害

消極損害とは、交通事故に遭わなければ得ることができるはずだった利益のことです。消極損害には、下記のような項目があります。

・休業損害

交通事故に遭わなければきちんと稼働して収入を得ることが可能だったのに、交通事故に遭って入院や自宅療養をしなければならず働けなかったという場合に、得られたはずの収入を損害として休業損害が認められます。
休業損害は、交通事故前年の収入、もしくは、交通事故直前3ヶ月の収入によって決められます。

公務員やサラリーマンの方は、休業していても給与を受け取っている場合もありますので、そのような場合には休業損害は認められません。
もっとも、休業していることで給料を減額された場合には、その減額分が休業損害として認められます。

また、有給休暇を取得して通院していた場合には、交通事故がなければ自由に使えたはずの有給休暇を通院に使ったということですから、交通事故によって休業したとみなされ休業損害が認められます。

また、専業主婦でも、家事労働に対する休業損害が認められます。

・後遺障害による逸失利益

交通事故に遭わなかったら得ることができたはずの将来の収入を、交通事故に遭い後遺障害が残ったことによって得られなくなったと考えられる場合に、その失うであろう利益をあらかじめ損害賠償金としてもらうことができます。

例えば、年収500万円だった人が、後遺障害が残ったことによって以前と同じように働けなくなり、年収400万円に下がったとしたら、1年に100万円ずつ損をしますから、その金額を就労可能年数分、損害として前もって払ってもらっておくという考え方です(ただし、将来に得るはずの利益を一括前払いで支払ってもらうわけですから、中間利息は控除されます)。

ところが、交通事故の事案ごとに、この人はこの後遺障害によって将来どのくらい収入を失うだろうかということを個々に認定していくことは困難です。そこで、後遺障害の等級ごとに労働能力喪失率が決められています。

後遺障害は、1級から14級に分類されていて、これに対する労働能力喪失率は、1級~3級なら100%、14級なら5%です。

得るはずだった収入を計算する場合、症状固定までは休業損害として、症状固定後は後遺障害による逸失利益として計算されます。

・死亡による逸失利益

死亡した場合には、将来得るはずだった利益はそのまま損害となります。そして、将来に得るはずだったものを一括前払いで受け取ることになるので、中間利息は控除されます。

さらに、死亡による逸失利益には、生活費控除というものもあります。

被害者が交通事故で死亡せずに生きていたら、年収500万円を毎年稼いでいたであろうことは確かだとしても、その中から食費など生活に必要なもののために出費もしていたはずです。それが、亡くなったからといって、その収入がまるごと遺族に入るということは不合理であるため、収入のうち、生活費に使われるだろうと推定できる割合については生活費控除がされます。

 

3.精神的損害

精神的損害は、交通事故に関わって受けた精神的な苦痛を損害とみなすことです。精神的な苦痛は、慰謝料が払われることによって補償されます。

慰謝料には、下記の項目があります。

・傷害慰謝料

交通事故に遭って入院や通院をしたことによる苦痛に対する慰謝料です。これは、入院期間、通院期間、通院日数、重症かどうかという観点からだいたいの金額が決められています。

・後遺障害慰謝料

交通事故に遭い、後遺障害が残ったことによる苦痛に対する慰謝料です。後遺障害による慰謝料を得るためには、自賠責保険を通じて、損害保険料率算出機構から後遺障害等級認定を受ける必要があります。

後遺障害等級認定に不満がある場合、異議申立をしたり、裁判で争ったりすることになります。

そして、後遺障害等級が決まったら、これに対応する慰謝料額が決まります。

後遺障害慰謝料は、弁護士に依頼することにより裁判基準で算定されることになり、増額が見込めます。1級なら2,800万円、14級なら110万円といったように、後遺障害等級ごとに基本的な金額が決められており、この基本の金額に対して、個別の事情に応じて増減がされることになります。

自賠責基準のままですと、1級なら1,100万円、14級なら32万円程度となりますので、後述のように弁護士に依頼することが大きなポイントとなります。

・死亡慰謝料

交通事故により、死亡したことによる苦痛に対する慰謝料です。亡くなった本人の苦痛に対する慰謝料を遺族が相続するという形になります。

 

4.保険会社基準と裁判基準

交通事故の損害賠償には、保険会社基準と裁判基準と言われる2つの基準があり、保険会社基準よりも、裁判基準の方が、損害賠償額が高く設定されています。しかし、任意保険会社が被害者本人や家族に対して送ってくる示談案は、それぞれの保険会社が定める基準に基づいて計算されています。

弁護士は、保険会社と示談交渉する場合でも、裁判基準を利用して計算します。そして、任意保険会社も弁護士が相手である場合には、裁判基準で示談交渉に応じます。

なぜなら、任意保険会社が保険会社基準にこだわるのであれば、弁護士は、示談を打ち切って、損害賠償請求訴訟を提起するからです。訴訟になれば、裁判所は裁判基準で損害賠償額を計算します。

弁護士や裁判所に対しては保険会社基準が通用しないことを任意保険会社は知っているのです。そのため、正当な金額に損害賠償金額を増額するには、弁護士への相談が必要不可欠となります。

 

5.まとめ

上記の損害の項目について、被害者が請求しなければ任意保険会社が認めてくれない項目もありますし、そもそも、損害額は保険会社基準で計算されていますので、保険会社の提示する額が必ずしも正しいわけではありません。

しかし、弁護士が介入することで裁判基準での計算に代わるので、後遺障害慰謝料などが多くなったり、保険会社に認められなかった項目が認められたりといった形で損害賠償額が増額できることがあります。そこで、交通事故の詳細な損害額の算定は、弁護士に相談するべきです。

広島県広島市の田中法律事務所は、交通事故における損害賠償金の増額に成功した事例が数多くあります。地元の広島市以外にも、東広島市、呉市、廿日市市、三次市、福山市など、広島県全域よりお問い合わせいただけます。

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